常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

death throes

野田内閣が発足し,内閣支持率の大幅回復が話題になっています。以下はThe Asahi Shimbun(09/06/11付け)の記事"Most Japanese support Noda's Cabinet"から冒頭の一文の引用です。

More than half the Japanese public support Prime Minister Yoshihiko Noda's new Cabinet, a marked improvement on the dismal approval ratings during the death throes of Naoto Kan's administration, according to an Asahi Shimbun poll.
http://www.asahi.com/english/TKY201109050264.html

今回採り上げるのはdeath throesです。記事は,国民の支持を失ってしまった菅前首相について述べられています。deathという語が用いられていることから,ネガティブな意が強い表現であることが容易に想像できます。『ジーニアス英和辞典』(第3版,大修館書店)で確認すると,「(失敗・終結前の)末期段階;(人・動物の)断末魔の苦しみ」とありました。
つまり,ここでは「菅内閣末期」と訳すことができ,前にあるdismal approval rating(惨憺たる支持率)とも共起しています。実際,菅内閣の最終的な支持率が10%台まで落ち込んでいたことも考慮すると上記の試訳が当てはまると思われます。

ちなみに,throeは「[〜s]ひどい苦しみ,激痛;陣痛,断末魔の苦しみ」を表す文語です(『ジーニアス英和辞典』同上)。
今後も政治の動向とそれを如実に表すことばに注目していきたいです。(ゼミ生 pear