常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ご指名質問回答(Lbow-Shoulder)

アクセントのことを指摘されるのは心が痛いです。なぜなら自分自身が奈良県出身だからです(現在台風接近中)。さて,今回のご指名質問の内容はどうやらアクセントに関するもののようです。1つずつ解説させていただきます。
But he went on to liken the actress to "Geoff Boycott in drag," a reference to the famous former Yorkshire cricketer renowned for his thick accent and gruff demeanor.
(中略)
Last year Hollywood star Russell Crowe was the target of some derision for his accent in blockbuster "Robin Hood," and walked out of a radio interview after it was suggested his character sounded like "an Irishman who took frequent holidays in Australia."
http://d.hatena.ne.jp/A30/20110903#1315011463
Geoff Boycottさんはクリケットの元イングランド代表選手だった方です。出身はイギリス北部のヨークシャーなので,ヨークシャー訛りで話します。次にin dragですが,dragには「(男性の)女装」という意味があり,in dragで「女装して」となります(英辞郎on the Web)。
本文冒頭では,「アメリカ出身の女優Anne Hathawayさんが映画One Dayの作中で話すイギリス北部のアクセントが気に入らない」という内容が伝えられています(poured scorn onのonが踏みにじっている感じを表しています)。Anneさんが演じたエマは労働者階級出身という設定だったことも押さえておかなければなりません。以上のことから,エマ役のアンさんの訛りはまるでGeoff Boycottさんのようだということから,Geoff Boycott in dragは「女性版Geoff Boycott」と訳せるのではないでしょうか。
an Irishman who took frequent holidays in AustraliaはBBCのラジオ記者の,ラッセル・クロウさんに対する発言です。映画「ロビン・フッド」で主役ロビン・フッドを演じたラッセル・クロウさんの作中の訛りが「休暇でよくオーストラリアに行くアイルランド人のようだ」と指摘されました。そもそもロビン・フッドはイギリス北部ノッティンガム州シャーウッドの森に住んでいたとされています。しかしラッセル・クロウさんはニュージーランド生まれであり,オーストラリアの俳優です。したがってラッセル・クロウさんは基本的にはオーストラリア英語もしくはニュージーランド英語を話すはずでしょう。そのため,「アイルランド訛り」と指摘され,「ラッセル・クロウさんは労働者階級の言葉を話すのですね」と聞こえたのではないでしょうか。
個人的に不完全とも言える「関西弁」を話して,関西弁を話している気になっている人を見るとあまり良い気はしません。言葉の難しさを感じます。(ゼミ生 Lbow-Shoulder)