常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

「なんでだろう座談会」の感想

本日は,関東甲信越英語教育学会の研究推進委員会が企画する「なんでだろう座談会」に参加して来ました。
http://d.hatena.ne.jp/A30/20110607/1307451926
この座談会は今年2回目の開催でして,今回のテーマは「生徒は意味を考えながら音読しているの?」です。最近の教室では,音読が多く導入されてきています。しかし,ただ漫然と音読している生徒は少なくないのではないでしょうか。今回はそんな素朴な疑問をテーマにして,研究推進委員会の実施した研究を検討するという形で院生・教員で意見交換しました。
研究推進委員会の研究では,「音読するときに学習者は自然に意味を考えるのか」を大学生対象に検証しました(研究方法等は省きます)。そして36%の大学生が,意味を追いながら音読し,それにより内容理解ができているという結果が出ました。意外に低いパーセンテージにびっくりです。この結果に影響を及ぼしているのが,学習者の受けてきた授業がどのようなものであるか,です。過去に音読の指導を受けてきている学習者は,音読を学習に取り入れており,自然に意味を追うようになり,Reading力が上がっています。一方,音読の指導を受けていないと,意味を追うということを自然に行うことができず,Reading力のなかなか上がりません。音読指導がReading力の向上に一役買っているのですね。音読指導を行うことの大事さを再確認した研究でした。
さらに話は番外編へと移り,「音読の目的」についても少し話し合いました。座談会で取り上げられた目的は2つです。ひとつは「定着させるための音読」,そしてもうひとつが「理解促進のための音読」です。前者はよく教科書の内容理解を終えた後に,行われる音読です。後者は内容理解の過程で行われる音読です。一口に「音読」と言っても,「何のための音読?」を意識しなければ漫然とした音読指導になってしまいます。指導する際に「目的←方法」を心がける大事さを感じました。
今回は「音読」に特化した学会でしたが,今後も時間があれば「英語教育」と名のつくものであれば積極的に参加していきたいです。(Sugiuchi)