常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

upset

今回は以前古本屋で購入した『米英俗語辞典』(朝日出版社)から英語表現を拾います。
get Hail Columbia「ひどく叱られる,怒鳴りつけられる」という俗語を紹介している欄に,以下のような例文がありました。
Martin got Hail Columbia for having upset the inkstand.
「マーティンはインクをこぼしてこっぴどく叱られた」
ここで注目するのはupsetです。「うろたえる」という意味のことばですが,ここでは違うようです。『ジーニアス英和辞典』(第4版,大修館書店)によると,動詞形で「〈人・動物が〉〈物〉をひっくり返す」という意味があることが分かりました。これはoverturnよりも堅い語です。
では,なぜupsetにはこのような意味があるのでしょうか。これにはupsetの語源が関係しています。upsetはset up(立てる)の語順変換からできており,19世紀初頭,overset(ひっくり返す)にその対応語義を逆転させたことから来ています(同上)。
このように辞書の例文にも興味深い情報はたくさん詰まっているのですね。(杉内)