常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

itch to~

今回は,本日のゼミで田邉先生が取り上げられたオサマ・ビン・ラディン氏についての記事を取り上げます。
本日のInternational Herald Tribune(05/09/11)の一面の見出しに注目してください。

An isolated man, itching to be heard
この見出しの写真から,読み取れる情報は何があるでしょうか。まず直訳すると,「ある孤独な男は,(何かが)聞かれたくてたまらない」となります。しかし,ただ字面をなでるような読み方では読み取れる情報はごくわずかです。一歩深い読み方をしてみましょう。
まずisolateですが,to separate one person, group, or thing from other people or thingsと定義されています(LDOCE)。日本語訳は「孤独な」などですが,英英訳を見るとさらに俗世間から隔離されているニュアンスが感じられます。そしてitch toですがto want to do something very much and as much as possibleという意味です(同上)。
以上の定義を見て,もう一度見出しを分析してみましょう。すると,「ある男は俗世間から隔離されているが,テレビで自分の名前が聞かれるのをうずうずして待っている」と解釈でき,そこから「孤独ではあるが,世界に名前を知らしめたい」というメッセージを感じることができると思います。このような捉え方をすると,ここでのheardはhear from〜「〜からの便りをもらう」のhearも意識されているとも考えられることができます。
本日のゼミで,田邉先生はget a feel for language,いわゆるSprachgefuhl「言語感覚,語感」を養うことがとても大事であると仰っていました。「常時英心」の精神でSprachgefuhlを育てていきたいと思います。(杉内)