常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ご指名質問 courtier lunacy

大変遅くなりましたが,courtier lunacyについて解説させていただきます。

http://d.hatena.ne.jp/A30/20110429/1304053538

まず辞書を引いてみると,courtierは「延臣,ご機嫌取りの人」,lunacyは「気違いざた,愚かさ,愚行」とあります(『ジーニアス英和辞典』第3版,大修館書店)。さらにインターネットで調べてみるとCourtiers are shod with watermelon rind.ということわざがあり,「宮廷人の履く靴は、スイカの皮でできている。/宮廷人は、いつ国王の好意を失うか分からない。/好意は命と同様、いつかは消えるもの」とありました(英辞郎 on the WEB)。coutierは「宮廷人」とも言うことができるようです。上記のことからcourtier lunacyで「宮廷人の愚行」となります。しかし,このタイトルでは‘’がついているので何かを表しているようです。

記事を読むと,St. James’s PalaceがTony BlairとGordon Brownの2人の首相経験者を招待しなかったとあります。このSt. James’s Palaceは辞書には「セントジェームス宮殿,英国宮廷」とありました(『ジーニアス英和辞典』同上)。確認のためにインターネットで検索してみると,The British Monarchy(英国王室)のページがヒットしました。つまり,王室が2人を招待しなかったことになります。以下がその理由を述べている箇所です。

This is courtier lunacy. It beggars belief that St James's Palace is saying in one breath that the wedding is not a formal state occasion and in another that Tony Blair and Gordon Brown have not been invited because they are not Knights of the Garter. They probably wouldn't want to attend the wedding. But they should have been invited.

http://www.guardian.co.uk/politics/wintour-and-watt/2011/apr/27/royal-wedding-tonyblair

ここでは,英国王室が結婚式を公式行事としてみなしていないこととTony BlairとGordon Brownはガーター勲爵士でないため招待されなかったことが明記されています。This is courtier lunacy.とあり,その後に王室が2人を招待しなかった理由を述べていることから,このcourtier lunacyは「王室の間違い」と訳すことができると考えました。(ゼミ生 Temple)