常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Othelloの授業感想紀

先日からUG先生の大学院の授業である「応用言語学特殊講義」を受講させて頂くことになりましたOthelloです。今回はその授業の概要並びに感想などをこの場をお借りして書かせていただきます。
まず、大学院の授業は少人数しか履修しないので、先生と学生の距離が近く、学生のレベルに合わせて先生が授業をしてくださります。そしてこの「応用言語学特殊講義」では、先生のご配慮により、教職希望であるにもかかわらず、音声学及び音声指導の知識が乏しい私のことを考慮して、音声学の基本を学びながら音声指導の教授方法を体験して学んでいくという授業テーマを設定していただくことになりました。
この講義では、最初に神山孝夫先生の『脱・日本語なまり——英語(+α)実践音声学』(大阪大学出版、2009)を扱います。この教科書は、日本人英語学習者の英語の‘speech sound’にある日本語訛りを「自分で発見し、自分で自分の抱える問題を認識するという過程」(神山、p.7)を基本としています。今回は前回の授業で学んだ音声学の基本の中から2つを選び、自分なりの見解とともにご紹介させて頂きます。
まず、音声学を学ぶ際の前提として、音(おん)と音(おと)の区別があります。前者は人が発した意味のある音(言語音)のことで、英語では‘speech sound’と言われています。一方後者は、紙の擦れる音やキーボードを叩く音などのノイズのことです。
次に、「調音 (‘articulation’)」は、言語音を発するために行われる呼吸器の動きの総称のことです。ここで講義内容から話は少しそれますが、‘articulation’という言葉に焦点を当て見解を述べてみたいと思います。『新英和大辞典 第4版』(研究社、1960)では、「1〔音声〕(1)有節発音;調音、分節;(個々の発音). (2) 言語 (speech);有節音 (articulate sound);言語音、話音 (speech sound)、 (特に)子音 (consonant).」や「4〔解〕関節接合、連接 (jointing);間接 (joint)、 5〔植〕節(せつ) (node).」と説明しています。ここから、‘articulation’は節やつなぐという意味合いの言葉であることがわかります。
さらに、‘articulation’は articleから派生してきた言葉です。articleは、『新英和大辞典』(同上)によると「ME(Middle English, 1100-1500), F(French), L(Latin) articul-(us), dim. of artus joint, limb」(加筆筆者)とあるように「関節」という言葉が語源であるとされています。つまり、‘articulation’は肺から出る息を言語音とするために関節のように伸ばしたり曲げたりして発し調節することであると考えられます。
今年度1年間、田邉先生の授業で音声学の基礎知識をしっかり学び、自分の発音を矯正、そして音声指導を体得していきたいと思います。末筆ではございますが、田邉先生、そして一緒に学んでいる英語仲間のお二人、ご指導の程どうぞよろしくお願い申し上げます。(Othello
【参考文献】
神山孝夫(2009) 『脱・日本語なまり——英語(+α)実践音声学』 大阪大学出版