常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Donald Lawrence Keene

昨日,基礎英語の収録後,田邉先生のお車に乗せて頂きながら帰っていると,車内のラジオからあるニュースが流れてきました。ラジオによると4月15日,アメリカの日本文学研究者でコロンビア大学名誉教授のDonald Lawrence Keeneさん(88)が,夏にも日本国籍を取得し,日本に永住する考えであると伝えられていました。東日本大震災に心を痛めたことがきっかけとなり,この度の決断に至ったとのことです。
同氏は半世紀以上に渡り日本文学の研究を続け,近松門左衛門の研究や『奥の細道』の英訳,三島由紀夫らとの交流などで知られる人物で,日本文化を海外へ普及させた功績から2008年に文化勲章も受賞されています。以下のURLはNHKが行ったインタビューでキーンさんが答えた内容です。
http://www.youtube.com/watch?v=Vrf-TInVXFU
キーンさんのような方が日本のことを想い,大学を退職(*1)されてまで日本国籍を取得されようとしていることに,もはや感謝の以外のことばが思い浮かびません。海外の方々にとってより魅力ある日本を再構築していくために,「国民一人一人ができることをやっていかなければならない」と改めて感じさせられたニュースでした。(gacha)
*1アメリカの大学教授にはprofessor,associate,assistant,lecturer,adjunct faculty(左からランク上)などのランクがあり,博士号を取得したassociate以上にはtenure(終身雇用制度)が適用される。tenureを獲得したものは 自ら退職しない限り生涯雇用(lifelong employment system)を受ける(雇用は保証,実績が継続されなければ給与は下がることもある)。