常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

pandemonium

福島第一原子力発電所で3号機と4号機の使用済み燃料を保管したプールが冷却できない状態になっている事態を受け,自衛隊が上空のヘリコプターによる水の投下を始めました。アメリCNNでは現地で対処にあたっている自衛隊をはじめとした人々をheroesと呼んでいます。以下は,Praise for 'heroes' working to avert Japan's nuclear catastropheという記事の中のChernobylについて書かれた部分です。
Experts say lessons have been learned since the nuclear disaster at Chernobyl 25 years ago, when an unauthorized experiment saw radioactive dust spread across swathes of Ukraine, Belarus, Russia and western Europe.
Then, emergency workers were sent in with little or no protection to deal with the fallout.
"It was pandemonium; there was no monitoring, no idea of the risks," Wakeford said.
http://edition.cnn.com/2011/WORLD/asiapcf/03/16/japan.nuclear.heroes/index.html?hpt=T2
今回採り上げるのはpandemoniumという単語です。辞書には「大混乱, 混沌(こんとん)」や「大混乱[暴動]の場所, 修羅場, 無法地帯」,「⦅P-⦆悪魔の巣窟(そうくつ), 万魔堂, 伏魔殿;地獄」とありました(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)。
この単語は,pan-が「すべて」,demonが「悪魔」を意味し,そこから「すべての悪魔のいる所」という意味でイギリスの詩人J. Milton が造った造語(a coined word)です(『研究社 新英和中辞典』研究社)。
放射能が飛散したChernobylの状況は文字通り「すべての悪魔がいる地獄」だったと思いますが,今回の福島第一原子力発電所は何としてもpandemoniumの事態を避けなければなりません(院生 小山本)