常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

thick

今回は『ハリーポッターと炎のゴブレット』から英語表現を拾います。
ハリーはTriwizard Tournamentの第2のタスクで,海中から「大切な人」を助けなければならなくなりました。その人とは親友ロン。ハリーは一人の人質を助ければいいのに,結局二人の人質を助け,その結果タスクの時間制限を大幅にオーバーしてしまいました。しかし,二人を救助した功績が認められて,審判団からは50点中45点を与えられるという好成績を収めたのです。その時にロンはハリーに言い放ちました。
You weren’t being thick after all−You were showing moral fibre.”
ここで採り上げるのは,thickの意味です。thickと言いますと,第一義に上げられるのが「厚い,厚みのある」という意味です。しかし,ここでは明らかに違う意味で使われています。『オーレックス英和辞典』(旺文社)を引いてみると,thickには口語で「仲が良い,親密な」という意味があることが分かりました。thickの中心義が「幅や密度が大きい」であるという点から考えると,納得がいきます。
では,太文字箇所を訳してみると、「お人好しのふりしたわけではなかったんだね」のように解釈出来ます。ここで大事になるのがbeingの訳し方です。進行形ingはもともとその時の「臨場感」を伝えてくれる用法です。それを考慮に入れ、さらに文脈にのせると「〜のふりをする」という訳がしっくりきます。そしてこのbeingの処理の仕方は,以前田邉先生にShe is being pretty.「彼女はぶりっ子だ。」を例に教えていただきました。(ゼミ生 persimon柿生)