常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

The ides of March

最近のDY(02/17/11付け)3面にあった記事の見出しより英語の表現を拾います。
The ides of March loom for Kan
Prime minister flailing around trying to find support for budget-related bills
今回取り上げる表現はthe ides of Marchです。idesは以前もthe ides of Mayというタイトルでブログに登場しています。
http://d.hatena.ne.jp/A30/20100522/1274480234
idesの意味を確認してみると「《文》[通例the 〜;単数・複数扱い](古代ローマ暦で)(3・5・7・10の)15日;(他の月の)13日」と出ています(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。上記のことから見出しを直訳すると「3月15日が不気味に管首相に迫る」となります。この3月15日というのは欧米文化では不吉な日とされています。『リーダース英和辞典』(第2版,研究社)には“Beware the ides of March”で「3月15日を警戒せよ《Caesar暗殺の故事から,凶事の警告》」という表現がありました。
したがって,この見出しは予算関連法案の審議に入りましたが,野党の協力がなかなか得られないために苦戦を強いられている管総理への警告であることがわかります。3月15日に行われた予算関連法案の話とローマ時代の同日に起きたカエサル暗殺の故事を巧みに結びつけて見出しに取り入れる部分に記者のちょっとした機知が感じられます。(ゼミ生 camel)