常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

knickerbockers

今日は『ハリーポッターと炎のゴブレット』から英語表現を拾います。
主人公ハリーは,魔法使いです。彼は赤ん坊のころに両親を亡くし,それ以来,唯一の親戚であるダーズリー一家と住んでいます。彼らはとてもハリーの事が嫌いで,ハリーがホグワーツ魔法学校に行っていなくなる時期を楽しみにしています。なのでホグワーツが休みの8月は彼らにとって最悪な月となるのです(もちろんハリーにとっても)。今回はそんなダーズリー一家とハリーの日常生活の一部分に注目してみましょう。
No matter how much Aunt Petunia wailed that Dudley was big-boned, and that his poundage was really puppy-fat, and that he was a growing boy who needed plenty of food, the fact remained that the school outfitters didn’t stock knickerbockers big enough for him any more.
ここで採り上げるのはknickerbockersという単語です。この単語はknickersという単語と同義で「ニッカーズ」というひざ下までゆるい半ズボンのことを指します。では,なぜこんな固有名詞のような形で半ズボンという意味になるのでしょうか。
knickerbockersは19世紀初頭に生まれた言葉で,IrvingがHistory of New Yorkで使ったペンネームDietrich Nickerbockerが由来であるとされています(『ジーニアス大英和辞典』大修館書店)。そしてknickersはIrvingがHistory of New Yorkに登場する市民がひざ下までゆるい半ズボンをはいた服装をして挿画に描かれたことから来ているようです。主に狩り・ゴルフなどに用いります(同上)。
ちなみにKnickerbockerのように頭文字を大文字にすると,「ニューヨーク市のオランダ移民の子孫」という意味になります。(ゼミ生 persimmon柿生)