常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

shepherd (v.)

先日のDY(01/19/11)6面のBUSINESSにあった記事Apple CEO Jobs takes medical leaveから英語の表現を紹介いたします。アップル社の最高経営責任者であるスティーブ・ジョブ(Steve jobs)氏が体調不良のため療養することを表明しました。同氏は2年前にもすい臓がんを煩い移植手術を受けていました。今回の休養の期間や前回のがんとの関係性などの情報は全く公開されていません。専門家はジョブ氏が欠けるアップル社の今後に以下のような見解を示しています。
But analysts believe the company Jobs shepherded from garage start-up to a $65 billion technology trendsetter is in good hands with the current slate of talented executives- even as Apple, now the Silicon Valley player to beat, faces increasing competition from Google Inc. and others.
今回注目した表現はshepherdの動詞活用です。この語は「羊飼い,牧羊者」という名詞の意味以外にも,「1(羊)の番をする;…を保護する 2…を導く,先導する」という動詞の意味がありました(『スーパーアンカー英和辞典』第4版,学研教育出版)。今回は後者の「導く,先導する」という訳語が文脈に合いそうです。羊飼いが馬に乗って羊をある一定の場所に追い込む様子から派生してできた比喩表現だと推測できます。羊飼いは通常「後ろ」から羊たちを追い込んで行きますが,正しい方向へと羊を導いているのであれば「先導」という言葉であっても支障はないのかもしれません。
スタンフォード大学の卒業式での有名なスピーチの中でもあった通り,ジョブ氏はアップル社を小さいガレージ規模の会社から世界を牽引する650億ドルの大企業に導いた張本人です。自分もあのスピーチを聞いて心を動かされました。いち早く元気な姿で戻ってきてもらいたいものです。(ゼミ生 camel)