常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

fat chance

あけましておめでとうございます。新年いかがお過ごしでしょうか。年越しにはそばを食べ,年明けにはお雑煮やおせちを食べた人が多いと思います。「正月太り」なんて言葉もありますよね。「太った」というとfatを思い浮かべる人もいるかと思いますが,今回はこのfatという単語について紹介します。
イギリス人のファンタジー作家,Louise Cooperが書いた『シンデレラ』に登場する意地悪な姉妹は物語の中でuglyと表現されていますが,この姉妹は王子と結婚することを望んでいます。そしてそれに続く文に"Fat chance."と書かれています。fatを辞書で引くと「[限定](略式)多量の,多額の;わずかな,多くない≪反語用法≫」とありました(『ジーニアス英和辞典』第3版,大修館書店)。例文にはa fat chanceで「見込み薄」と載っています。すなわち,uglyな姉妹が王子と結婚できるわけがないと言っているのです。
Louise Cooperの書いた『シンデレラ』は翻訳演習の課題として出されたもので,私たちの知っている物語と冒頭から全く違います。しかし課題は冒頭部分の訳のみなので,今度続きを探して読んでみようと思います。(ゼミ生 b.m.)