常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

piñata

田邉先生から頂いたInternational Herald Tribune (10/2-3/10)から英語の表現を拾います。
If Wall Street is a piñata, it also wears a blindfold
今回取り上げる表現はpiñataです。辞書で調べてみると「ピニャータ(菓子やおもちゃをつめた等身大の人形;中南米諸国で誕生日などに子どもが棒で競ってたたき落とす)」と出ていました(『アドバンストフェイバリット英和辞典』東京書籍)。見出しだけではいまいち内容が掴めないので,記事の一部も引用します。
“‘I represent the Wall Street community,’ he began, wearing a suit that was decidedly not polyester. ‘We have felt like a piñata. Maybe you don't feel like you’re beating us with a stick, but we certainly feel like we’ve been whacked with a stick. ’After going on a bit about job growth and the ‘connection between Wall Street and Main Street, ’he returned to his theme. ‘When are we going to stop whacking Wall Street like a piñata?’ ”
文面からもわかる通り,筆者はオバマ政権によってWall Streetはピニャータのように激しく攻撃されていると指摘しています。どうやらここでのピニャータはお菓子のつまった人形ではなくて,「攻撃される対象」として解釈するのが適切のようです。
他の辞書であった「ピニャータ:ヒスパニックのクリスマス誕生日などに子供が目隠しをして棒で割るキャンデー入り容器.」(『プログレッシブ英和辞典』小学館)の定義からもわかる通り,通常piñataは目隠し(blindfold)をして行います。しかし,見出しではピニャータであるWall Streetが目隠しをすることになっています。blindfoldには目隠しという以外にも「視覚[判断]を妨げるもの」という意味がありました(『アドバンストフェイバリット』同上)。つまり,このままWall Streetが攻撃され続けると,それが本来目指すべき方向性さえも失ってしまうということを暗示しています。
読解力がもちろんですが,文化的知識がないと理解するのは困難な見出しでした。CNBCに同じ内容のビデオクリップがありましたので張り付けておきます(http://www.cnbc.com/id/15840232?video=1595934987&play=1)。(ゼミ生 camel)