常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

白鵬express steams

大相撲の白鵬は本日の横綱魁皇との取り組みでも白星を挙げ,自身の連勝記録を59まで伸ばしました。今回はThe Asahi Shimbunから白鵬に関する表現を2つ採り上げます。
SUMO/ Hakuho steams forward(2010年9月16日付)
http://www.asahi.com/english/TKY201009150353.html
steamは「蒸気(を出す)」ですが,この語が用いられることで白鵬が蒸気,つまり熱気をあげ蒸気機関車(steam locomotive)のように力強く勝利へ前進していく姿が浮かび上がります。『OXFORD英英辞典』にはsteam ahead: with as much speed or energy as possibleというイディオムが載っており,やはり勢いや力のみなぎり具合が感じられます。ちなみに,この見出しでのsteamは動詞ですが,名詞よしては「《略式》力,精力,元気,体力」という意味もあります(『新英和中辞典』第5版,研究社)。
次の表現は…
SUMO/ Hakuho express keeps on chuggin'(同年9月22日付)
http://www.asahi.com/english/TKY201009210334.html
express(急行列車)という語からわかるように,1つ目の見出しに引き続き,今回も白鵬は乗り物に例えられています。『OXFORD英英辞典』にa fast train that does not stop at many placesとありますから,白鵬の勢いは止まる気配を見せないのですね。またchugは「(エンジンなどの)ポッポッという音」なので,白鵬は進み続けていることがここでも強調されています。
簡単な表現ではありますが,白鳳の止まることを知らない勢いを乗り物に例えた点が興味深く記事にさせていただきました。
彼の偉大な連勝記録がどこまでいくのか楽しみですね。次回はカメ女さんです。 (ゼミ生 pear