常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

holy grail

昨日(9/22/10),田邉先生がMI6の正史が刊行されたニュースを取り上げておられましたが,私も気になったので記事を読んでみました。以下はREUTERSからの引用です。
http://d.hatena.ne.jp/A30/20100922/1285146246
Speaking beside a display of early 20th century spy gear including miniature cameras disguised as matchboxes, historian Keith Jeffery told a news conference he had been privileged to comb "the Holy grail of British archives" to produce "MI6: The History of the Secret Intelligence Service (SIS)".
http://uk.reuters.com/article/idUKLDE68K16X20100921
holy grailを辞書で引くと,「(キリストが最後の晩餐に用いた)聖杯;(探求しても)絶対達成できない理想,見果てぬ夢」とありました(『ジーニアス英和辞典』第3版,大修館書店)。今回の記事では後者の意味が当てはまります。LDOCEにもsomething that people want very much, but which is very difficult or impossible to achieveと説明されています。「英辞郎 on the WEB」によると,語源は聖杯探求の伝説からのようです。聖杯伝説とは何なのでしょうか。
その名の通り,キリストが最後の晩餐で使用した聖杯を主人公である騎士が探し求めるという伝説なのですが,聖杯を探し出すためには数々の試練を乗り越えなければなりません。
おそらくその様々な試練が困難であるために「絶対達成できない理想」という意味になったのでしょう。
本題に戻りますが,著者であるKeith Jefferyは歴史を研究している大学教授です.よって極秘文書の閲覧を特別に許可されたことはこの上ない喜びだったのではないでしょうか。
明日はyori-moneyさんです。(ゼミ生b.m.)
*MI6にある,これまで秘密のベールにつつまれ,何人も侵してならない「アーカイブ=機密史料」のことを,"the Holy grail of British archives"と,面白おかしく表現しているのです。確かにHoly Grailではありますが,比喩的な表現です。そのgrailのすみずみまで探る(comb)特権を与えられた教授はFlemingの親友でした。(UG