常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

bring/come in from the cold(解説)

小山本によるbring/come in from the coldの解説です。
http://d.hatena.ne.jp/A30/20100922/1285146246
Book brings Britain's real-life James Bonds in from the cold
http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/books/book-brings-britains-reallife-james-bonds-in-from-the-cold-2085709.html
まず,質問のタイトルにもなっているcome in from the coldは寒い所から抜け出すというところから転じて「無視されている状態から抜け出る」という意味のイディオム(『スーパーアンカー英和辞典』第4版,学研教育出版)。見出しでbringになっているのは,come aboutとbring aboutの関係から考えればわかりやすいと思います。前者は自動詞的な意味を持つのに対し,後者は他動詞的な意味を伴います。今回はbookが主語ですので後者になっているわけです。
また,coldは言うまでもなく,記事中にもあったthe Cold Warと掛けてあります。
さらに,real-life James Bondsと複数形にすることで,Graham Greene, W. Somerset Maugham and Arthur Ransomeを指していることがわかり,(Pershimmonくん得意のドイツ語ほどではないにしても)英語の論理性を垣間みる事ができる部分です。(院生 小山本)