常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

空洞化

DY(08/31/10付け)の7面BUSINESSにあったFirms react to strong yenという見出しの記事から英語表現を探ります。以下は記事からの引用です。

The recent strength of the yen is pressing Japanese companies to take countermeasures, such as increasing the rate of local parts procurement at their overseas factories and raising the prices of their products in overseas markets.
Observers said, however, that expanded overseas procurement and production may gut domestic industries and aggravate the employment situation.

今回取り上げる単語はgutです。日本語でも「ガッツ」というカタカナがあるように名詞形の「[〜s]勇気,根性,ガッツ.」がすぐに思い浮かぶのではないでしょうか(『スーパーアンカー英和辞典』第4版,学研教育出版)。しかし,今回のgutは動詞で使われています。動詞形を辞書で調べてみると「1(鳥・魚)のはらわたを取る. 2(家など)の中の物をすっかり略奪する;(家など)の中身をすっかり焼く」と記されていました(『スーパーアンカー英和辞典』同上)。両方の語義を確認してみると,どちらも物体の中身がなくなるようなイメージがあることがわかります。

話を今回の記事に照らし合わせてみると,円高により多くの企業が海外での部品調達を依頼するケースが増えています。国内の需要が落ち込み,海外流出による企業の「空洞化」がgutという単語のもつイメージと合致しています。したがって試(私)訳ですが“overseas procurement and production may gut domestic industries”は「海外での部品調達や生産は国内産業の『空洞化』を招きかねない」といった意味になります。(ゼミ生 camel)