常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

fiddler

先月,東京の楽器店への不法侵入の容疑で逮捕されていた26歳の男性が他に音楽家の住宅へ不法侵入し26点もの楽器などを盗んだ容疑で再逮捕されました。一連の事件をThe Japan Times Online(2010/09/01)が取り上げています。見出しに注目してください。

Burglary suspect a bass fiddler

http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nn20100901a8.html

今回注目する表現はfiddlerです。『オーレックス英和辞典』(旺文社)によると「バイオリン弾き,不正を働く人,いかさま師」とありました。実はこの事件の犯人は趣味でコントラバスを弾き,今回の事件は「趣味が高じて欲しくなった」と供述しているそうです。このことからどちらの意味もあてはまっています。また動詞fiddleの意味にも「そわそわと(…を)もてあそぶ,いじくる,バイオリンを弾く」の他に「〈他人の者を〉(勝手に)いじる,…をごまかして手に入れる」とありました。(『オーレックス英和辞典』旺文社)

また記事に載っていた写真の説明を取り上げます。

Fiddler on the hoof: Stolen double basses and other items confiscated from the home of a man in Atsugi, Kanagawa Prefecture, are shown to the media Tuesday at the Mitaka Police Station in western Tokyo. KYODO PHOTO

ここで注目したいのがfiddler on the hoofです。この表現はジョセフ・スタイン脚本のミュージカルFiddler on The Roof (邦題『屋根の上のバイオリン弾き』)(1964)を意識したものではないでしょうか。hoofには「ひづめ,足」の他に動詞で「歩く,軽やかに踊る,一目散に逃げる」とあります。(『ジーニアス英和辞典』第3版,大修館書店)また『オーレックス英和辞典』(旺文社)によるとon the hoof で「十分考えもせず,上の空で,急いで」とありました。このことからも犯人の犯行の愚かさが受け取れます。

趣味が高じてこのような犯行に陥ってしまった犯人の愚かさが強調された記事だったのではないでしょうか。次はb.mさんお願いします。(ゼミ生yori-money)