常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

猿の群れ?

サル襲撃事件の続々報です(先生、やっとご質問にお答えができます。スミマセン...)。
続きはこうです。その猿の話で、田邉先生が、“猿の群れ”を英語ではどう表現するのかという質問をされたのです(ちなみにゼミにもPers...君という鎌倉出身のお猿さんがいます)。
でも、みんな自信はありませんでした(院生の小山本さんも知恵熱が出て、不発でした。昨夜は「激しかった」ようで...原稿書きのお手伝いで...)。
みかねた先生は、a pack of~、a group of〜あたりはどうかとサジェストされました。そうは言われても、日頃からcritical thinkingを訓練されていますので(とくに小山本先輩は)、とにかく辞書を引いてみることにしました。以下がある辞書の定義です(「〜の群れ」の項)。
 ・イナゴ[ハチ,アリ]の群れ:a swarm of〜
 ・牛[象,アザラシ]の群れ:a herd of〜 
 ・オオカミ[猟犬,犬]の群れ:a pack of〜
 ・猿[シカ]の群れ: a troop of〜    
辞書によると、先生の「通訳」はまちがいではないか、「一本とった!Touche!」と、一瞬、思いました(とくにPザルは!)。「猿[シカ]の群れ」は “a troop of〜”とあったからです。しかし、先生はそんなことでは簡単には引かれない信念のバイリンガルです。
ネットを確認してみてはどうかと指示されました。そこで今度はa troop of monkeys、そして a group of monkeys, a pack of monkeysを検索してみました。
するとなんということでしょうか!(TV Asahi 「ビフォアーアフター」風に!)、代表例として、辞書にあったa troop of monkeysの用例は異常に少ないことがわかったのです( 54,600件)。そして、一番、ヒットしたのが、a pack of monkeysで、な、なんと800万件以上だったのです。そして、2位が135,000件のa group of monkeysでした。つまり、辞書記述に反して、a pack of~、a group of~の方が実際にはより多く使用されているということがわかったのです。これが本日の猿話のfindでした。
もちろん、Google corpusによる使用頻度というひとつの視点からの数値ですので、当然、もっとチェックしないといけません。でも、やはり辞書(先生おすすめの辞書ですら)の記述は水物ということがはっきりと突きつけられた感じがしました。
先生にたずねると、昔からそっちの表現をよく聞いていた、とすまして答えておられました(なんだろう、この人は...)。
私たちが毎日のように通っている研究室。仕事でこき使われはしますが、このようなケースに出会うことが、その醍醐味であり、うまみであることを経験した人は通い続け、先生からすべてを吸い取るつもりでおります。くやし〜!(ゼミ生 gacha)