常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

flock

 JT(2010/08/19付け)で面白い記事を見つけました。その記事はアニメ「けいおん」の多くのファンが滋賀県にある小学校の校舎を訪問するという内容なのですが,その校舎はアニメ内に出てくる学校のモデルだと言われています。今は図書館や美術室として使われている校舎にコスプレをしたファンが1日に500人以上訪問するそうです。その様子を伝えている見出しを取り上げます。
 ‘Anime’ fans flock to aging Shiga school
今回注目する表現はflockです。『オーレックス英和辞典』(旺文社)によると,名詞では「《集合的に》《単数・複数扱い》(鳥・羊などの)群れ,《しばしば〜s》群衆・大勢,《集合的に》(教会の聖職者に対し)会衆・(父母に対し)子どもたち・(教師に対し)生徒たち」,動詞では「群がる,群れをなして移動する」とありました。flockを使うことにより「群れ」と「生徒たち」という両方のニュアンスを含ませています。またLDOCEによるとsmall pieces of wool or cotton that are used for filling cushionsとありました。このファンたちは校舎の黒板などに思い思いのメッセージを書き,ギターやお気に入りのフィギアを残し,新しい校舎を常に作り上げているそうです。このことから,flockを使うことで,常に変化する校舎の素材というニュアンスも含ませているのではないでしょうか。ちなみにflockを使ったことわざとしてBirds of a feather flock together.「類は友を呼ぶ」というものがあります。これでflockがなぜ使われたのかがわかる気がします。
 インターネットで知り合ったファン同士が,このように閉校した校舎をコミュニケーションの場として利用しているそうです。誰もが懐かしく感じる学校の校舎を使うことで簡単にice breakingできるような雰囲気もあるのではないでしょうか。次はLbow君お願いします。(yori-money)