常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

plow into

最近一週間の新聞を読み返しているcamelです。先日インドで大きな列車事故が起きました。事故は毛沢東主義者(Maoists)によるサボタージュ(sabotage)である可能性があると報じられていますが,その真相はわかっておりません。
JT(07/20/10付け)はその事故を以下のように伝えています。
A speeding express train plowed into a standing passenger train in eastern India on Monday.
この短い文の中に興味深い表現がありました。それがplow intoです。plowと聞いてすぐ思いつくのは,畑を耕すために使われる農具の「鋤(すき)」ではないでしょうか。動詞形でも「鋤で耕す」というのが最初に思い浮かびそうです。しかし,列車事故と「鋤」の直接的な関連性は極めて低いため,この訳では文脈に沿いません。
そこで,辞書でplowを調べてみるとplow intoで「〈車などが〉…と衝突する(crash into)」という意味が出ていまいした(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。また,自動詞用法で「(不注意や制御不能で)〔…に〕突っ込む〔into〕,〔…を〕突き進む〔through〕」とあります(『ジーニアス英和辞典』同上)。さらにLDOCEにはto crush into something or someone, especially while driving, because you are unable to stop quickly enoughと定義づけられており,暴走中のスピード感が感じられます。
plow intoと聞くと,以前秋葉原で起きた殺傷事件を思い出します。田邉先生は,トラックが繁華街に突っ込んでいく様子はplow intoでも表せられるとおっしゃっていました。幅広い視点で単語を捉えていくのはとても大切だと感じたDog Daysでした。(ゼミ生 camel)