常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

貫いたスタイル

7/11にW杯の決勝戦スペイン対オランダがありました。ヨーロッパの強豪同士の闘いを世界中のサッカーファンは固唾をのんで見守っていたと思います。勝ったのは質の高いパスサッカーで世界を魅了したスペイン。毎回優勝候補と言われ続けてきたチームがやっと初の栄冠を手にしたのです。
THE DAILY YOMIURI(7/13/10付け)のLittle in way of art from this Dutch squadという記事で決勝戦を扱っています。今回はその最初の一文を取り上げます。
Style and substance ultimately prevailed over thuggish brutality at Soccer City with Spain’s World Cup win,…
さて,style and substanceとthuggish brutalityは何かを例えたものです。一体何の比喩でしょうか…。種明かしをする前にまずそれぞれの表現を分析していきましょう。style and substanceのstyleは「独自のスタイル」の事を指し,substanceは以前にも取り上げましたが「実質,本質」という意味です(『オーレックス英和辞典』旺文社)。
http://d.hatena.ne.jp/A30/searchdiary?word=substance
一方thuggish brutalityのthuggishは「悪漢,殺し屋,盗人」の形容詞であり,brutalityは「獣性,残忍,野蛮」という意味となっています(『オーレックス英和辞典』同上)。よって,style and substanceは自分たちにあった独自のスタイルを表し,thuggish and brutalityは獣のよう目標物を襲う者を指していることが分かります。
以上の点と記事がサッカーについてという点を考慮に入れると,前者が華麗なパスサッカーを大会中披露し続けたスペインを指していることが想像できますね。後者は,W杯初優勝のためを貪欲に求めたオランダです。
今回のW杯は,目先の物にとらわれず本質を常に見失わなかったことが,スペインの勝利につながったと思います。英語学習も目先の資格試験等に惑わされずに本物の英語力を伸ばしていきたいですね。(ゼミ生persimmon柿生)