常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

The "write" stuff

今日のDY(7/7/10)の3面にホタテを再利用したチョークに関する記事がありました。その見出しが
The write stuff: Scallop shells recycled as chalk
まずstuffですが,food stuff(食料品)のように,「(漠然とした)物」という意味があります(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)。ここでは抽象概念としての「書くこと(もの)」というふうにとれます。また,poor stuff(そまつな材料)のように「材料」とういう意味もあり,これはchalkの材料を意識したものです(『プログレッシブ英和中辞典』同上)。さらには「廃物,くず,がらくた」という意味もあり(『リーダーズ英和辞典』第2版,研究社),これは廃棄処分されようとしたscallop shellのことを指しています。
以上を踏まえてこの見出しのおち(punch line)ですが,それはwriteとrightをかけて,stuffにつないでいるところにあります。つまりThe right stuff(「適材」)という意味の語句に,write(書く)をかけて,普通だったら廃棄されるscallopのshellを見事に「書くための適材」へと変えたというあっぱれなニュアンスがこれには盛り込まれてあります。
同じように語句にはThat’s the stuff.があります。これには「それが欲しかったんだ,それはいい,いいぞ,そうこなくっちゃ,うってつけだ!」という意味で(『リーダーズ英和辞典』同上),今回のrecycleという発想にはピッタリです。
蛇足ですが,chalkについても調べてみました。辞書を見てみると,形容詞chalkで「チョークで書かれた」という意味があり,そこから「勝つと予想されている,人気馬の」という意味を持っています(『リーダーズ英和辞典』同上)。お気づきの通り,これは競馬に由来するものです。また,動詞chalkには「〈得点・勝利などを〉得る,おさめる,達成する」という意味があり,記事中にもA Kawasaki-based company has been chalking up successとありました。今回はこの事業が成功をおさめようとしているということを意味しています。(院生 小山本)