常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Persimmon柿生講座#1「cynic」

W杯の記事が少なくなってきていることが悲しいpersimmon柿生です。今回はTIME(06/27/10付け)のGood Neighborsの記事から英語表現を拾っていきます。
一昔前,アメリカは世界ナンバーワンであるとだれもが信じて疑いませんでした。しかし,今は一概にそうとは言えません。時が経つにつれて,世界情勢は変化します。アフガニスタンとの戦争,イランなどの国の核兵器保持などアメリカの地位を脅かす事件が多発しているのは,疑いのない事実です。そしてアメリカは,他国から妬まれ嫌われているように思われがちですが,少なくとも中国・ロシアからは予想以上に友好的な関係が築けているようです。
TIMEの記事によると,中国国民の58%はアメリカに好意的な感情を持っているという事実があります。しかし,オバマ大統領はこの結果に対して安心してはいけません。中国やロシアなど大国が何をたくらんでいるか予想がつかないからです。
そのことについて,記事では…
Second, scoring well in public-opinion surveys doesn’t bring with it any tangible policy benefits; no matter how much better the U.S. looks to Europeans, they aren’t going to be any more willing to help in Afghanistan. And you don’t have to be a cynic to perceive an element of…
と書いてあります。そこで,今回はcynicの語源に迫っていきます。『オーレックス英和辞典』(旺文社)によるとcynicは「皮肉屋,冷笑家」という意味のほかに「キニク[犬儒]派の哲学者」という意味が紹介してありました。
これには語源が関係しています。cynicは「犬のような」の意のギリシャ語kynicosから来ており,ギリシャ哲学の一派で美徳を実践するために禁欲生活を送っていた学者たちの生活を「犬のような」と皮肉ったことからcynicに「皮肉家」という意味が生まれたと言われています(『オーレックス英和辞典』同上)。
単語の成り立ちなどを知ると,頭の中にスッと落ちてきます。このような切り口から単語を学ぶのもいいですね。(ゼミ生persimmon柿生)