常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

動詞の遊び

英語はその時と場面に応じて使われる表現が違ってくることを以前,ブログ内でも取り上げましたが,今回もその例があったのでみていこうと思います。
今日のTHE DAILY YOMIURI(2010年5月29日付け)には,昨日取り上げた,ウサイン・ボルトのレース結果(300M走)を伝える記事がありました。
当日は,生憎の雨に見舞われ,陸上競技場のトラック(走路)もぬれた状態でのレースとなりましたが,そこは100M,200M世界記録保持者,悪条件をものともせず2位に一秒以上の差をつけて快勝。実力の差を見せ付けました。以下が記事の見出しと本文:
Bolt splashes to victory in Golden Spike 300
−Bolt, who holds world records in both the 100 and 200 meters, was boosted by a solid start and cruised to an easy victory. But the wet track, marked by puddles, prevented him from challenging the world mark of 30.85 set by Michael Johnson at Pretoria in 2000. (前部省略)
雨の中の試合ということで,水に関連した語が使用されていますね。まず見出しにsplash,本文にはcruiseが用いられています。splashを辞書で引いてみると「〈道〉に水を(バチャバチャ)飛び散らしながら進む」とありました。(『ジーにアス英和辞典』第4版,大修館書店)この単語一つで,走路に溜まった水を物ともせずに颯爽と走るボルトの姿が頭の中に浮かんできます。また,cruise to~で「[〜を]楽に成し遂げる[手に入れる](to,into,through)」と明記されていました。(同上)winやgetなどを使っていないのがミソですね。また,Golden Spikeという表現も五輪のメダル,レースの優勝,そして神話にある黄金の足(黄金の靴)をかけていると読みました。遊び心満点です。そういえばSplashという映画もあったと記憶しています。
上記の様に,場面と使われている英語の関係を見ていくと,色々な発見があり,読むのが面白くなります。田邉先生の研究室はそれら発見の宝庫です。これからも,「あぁ,だからか!」という喜び(啓示!?)を求めて,もっと,もっと勉強していこうと思います。(by gacha)