常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

英語文化遺産 #1 Role Model 國弘正雄 その1

来週と,さ来週のゼミで紹介する國弘氏の書籍・テープです。國弘さんのことはGoogleなどでチェックのこと。一応,ゼミのみですが,役に立つかもしれないので,一般にも公開します。なお,彼のよく知られている著作はあえてはずしてあります。(UG)


一世を風靡したNHK教育テレビ「テレビ英会話 トーク・ショウ」(中級?後にStep III?)の内,2つのインタビューをフィーチャーしたもので,大学教科書として桐原書店が発売していました(1978年!)。

まずはざっと目を通し表現や内容を理解します。今の時代から見ると,古風な,堅い表現もあります。しかしケーハクな表現がやたらと多い昨今の「会話本」とは,ひと味も二味も違った大人の知的英語が満載です。「英語の五臓六腑」に染み込みます。私は学部時代に,何度も何度も音読して,お世話になりました。

上の「トーク・ショウ」からインタビューを選び,それを翻訳したもの。こちらを先に読んで,口頭英訳し,英語の原文を確認するという勉強を一時やっていました。

知る人ぞ知る九州は久留米英語講習会の対談をまとめたもの。3冊か4冊あったと思いますが,UGは2冊しか持っていません。テープもあったような...。

これも若き日のUGには欠かせない音読教材でした。声が枯れるまで英文を口で転がしながら,國弘氏,故Alan Booth氏などの語りを体内へ取り込みました。My salad days!(ふる〜! by 柿生persimmon!)

NHKの「トーク・ショウ」が終了し寂しい思いをしていたら,ELEC(英語教育協議会)が新たなTalk Showを開催してくれ,それをテープ化し,販売したのです。なんとそのTalk Showが開催されていた場所(旧ELEC会館)は現在の専修大学神田校舎!因縁が...。

ELECで売り出されたもののリスト。今,考えてもそうそうたるメンバーです。古本屋でUGは全巻を揃え,「Lis→音読→Shadow→部分同時通訳」などの手法で,テープが回らなくなるまで使用させていただきました。

別に國弘オタク(Kuni aficionado)ではなかったけど,こういう類のものにも手を出していた!やはりこの中にあった対談を音読して使ったような記憶があります。「百万人の英語」は大好きでした。英語をメインテインできる確かな番組でした。もう一度,やってくれないかな。A trip down memory lane!

題名が切れていますね。ごめん。「英語を習うということ」。この対談集も良かった!

稀覯本のひとつ。國弘氏が毎回参加されていた四国は池田の阿波ジャンボーズクラブ主催の英語合宿の内容をまとめたもの。UGが通訳修業をしていた頃の師だった 河上道生(元県立広島女子大学学長)先生も参加されていました。國弘氏は河上先生を「唯一のライバル」と思われていました。それが述べられている箇所には鳥肌が立ちます。河上先生は敗戦後中国地方にoccupation armyが来たときの通訳者。民間裁判,MP裁判に立ち会われたときの裁判記録が現在もNew Zealand公文書館に保存されていて,英語の誤り(含む冠詞,コロケーションなど)が一切なく,言語教育の専門家の間ではもはや神格化されています。こういう人には一生をかけてもなれないな,と今も真剣に思っています。河上先生に英語学習についてインタビューをしたことがあり,いつかはまとめて出版したいと考えていますが,自分がまだまだなので...。

これも30年前にお世話になった語彙・表現帳です。これにてある程度の語彙が残りました。名著です。なのに絶版になったのは残念。
國弘氏関連の書籍,テープは冒頭にも述べましたように他にも数多くありますが,伝えたかったのは多量のinputなしにはみんなの一番求めるspeaking能力,つまりoutputはなかなかうまくいかないよ,ということです。
そういえば,昔,岡山の通訳学校で教えていたときの教え子のIさん(当時,岡山市役所国際交流課)は中学(?)のときに國弘氏のトーク・ショウをテレビの前に録音機をもって陣取り,テープにおとしたと言われてました。「岡山No.1の英語の使い手」も,やはり同じ様な道を歩いておられていたのです(その後,Iさんはそのときのテープを全部私のためにダビングしてくれました。本当に感謝しています!おかげでいくつかは今も授業で活用させていただいています。今,お礼を言うなって!)