常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

はじめるあなたへのメッセージ

 以下は入学ほやほやの大学1年生への英語学習メッセージです。(by UG)

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 外国語習得の鍵は何よりも,あなた自身の「心」の中にあります。目標とする外国語が第一言語ではなく,生きるための手段でもない日本のようなケースでは,各人の「思いの深さ」が,その学習の成否を左右します。以下,入学を祝し英語を例に(目標言語が英語以外でしたら読み替えてください),'はじめるあなた'へのメッセージです。

○将来目標の中で英語を位置づけよう
 高校まで英語は「教科」の一部に過ぎませんでした。点をとるために,大学に合格するために英語は存在していたはずにです。だけどこれからは何よりもあなた自身のための英語学習です。
 入学したての今,将来のことを言うのは無粋です。しかし,高等教育の入り口にある今こそ,将来の目標,ヴィジョンを真剣に,具体的に,模索しはじめる必要があります。
 その過程で英語を自分の人生にどう位置づけるのか考えてみましょう。英語を専門とするのか(「プロ英語」),それとも他の専門のための道具として位置づけるのか(「ノン・プロ英語」),大きな分け方をしてみましょう。答えはなかなか見つからないかもしれませんが,こうした位置づけにより英語の到達目標,学習計画・内容・方法は大きく変わるはずです。

○Role modelを見つけよう
 自分が目標とする人,つまり,あこがれ(role model)を持つことは,その後の英語学習に大きな影響を与えます。
 「英語のあこがれ」を見つけていますか。あこがれは何も身近な人である必要はありません。一冊の本が,歌が,詩が,人生を変えてしまうことはよくある話です。これまでそういう機会に恵まれなかったとすれば,これを機に探してみようではありませんか。書籍や様々なメディアや人との交流の中から,自分自身のあこがれ追いかけてみましょう。

○自分の実力をはかってみよう
 はじめるあなたの今の力は?自分の今の位置はおそらくは直感でもわかるはず。しかしながら,それにある程度の客観性を持たせることも,また大切。そこで登場するのが,TOEICTOEFL英語検定国連英検などの「資格試験」です。
 「資格」ということば自体がmisleadingなのですが,これらはあくまで自分自身の学習を進めるための手段であり,最終目標ではありません。特に「プロ英語」を目指す人は,たとえTOEIC950以上でも,それは登竜門程度のものでしかないことを肝に銘じておくべきです。いずれにせよ,はじめる今の自分の現在地を客観的に把握し,記録しておくことは重要なことです。

○学習計画の立案・方法論の模索
 やるべきことが見えたら,次は自分自身の学習計画の立案,教材の選択です。それから方法論の開発です。
 とりあえずは情報を入れましょう。四方八方にアンテナを張りリソースを求めます。先人・達人の書いた本を読みましょう。英語学習に成功した人が身近にいればこれ幸いとインターネットの学習サイトをのぞいてみるのも一興です。先輩,先生を活用しましょう。集まった情報を精選して,自分にあった計画を立て,教材を探します。

○学習プロセスの自己支援システム
 はじめたもののなかなか続かないのが人の人たるゆえんです。そんなときに役に立つのが,「Portfolio」と呼ばれる「自己学習計画・記録・日記」です。この中に,上で述べた学習計画をやあらゆる情報をファイルし,これからの旅のおともにしてみませんか。うらみごとを書いたり,花まるシールを貼り付けたり,心に残ることばを集めたりなどして自分自身のものをつくるのです。同じ目標を持った「仲間作り」も不可欠。お互いに牽制しながら,励まし合う学習仲間は何よりの支えになります。また,先輩や先生方からのアドバイスも役立てましょう。落ち込んだ時には英語達人の自叙伝を読むのもよいと思います。 
○外国語学習は自動販売機と違って,結果はすぐにはついてこないものです。うまく行かないと,よくやってしまうのが,自分を責めてしまうことです。そうではなくpositiveな姿勢で,学ぶというプロセスそのものを楽しもうではありませんか。

 繰り返します。外国語学習は心の持ち方がすべてです。その管理に成功した人だけが,外国語によるコミュニケーション手段というすばらしい武器を手にすることができます。そして,それは専修大学の多くの先輩が身を持って実証してくれています。
 さあ,はじめようではありませんか。