常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

transpire 復習

 一昨日LAからリンカーンに戻りました。旅の終わりを実感し悲しみを感じるのも束の間、昨日は部屋の引っ越しに追われておりました。そろそろ秋セメスターの授業が近づいているということを本格的に実感しております。

 カリフォルニアの友人からの紹介でお会いした、ある動画クリエイターの方のホームページを読んでいた際に気になる表現を見つけました。ちなみにそのクリエイターの方は、あの中指を立てている猫のロゴで有名なストリートブランドのPR動画も手がけている方でもあります。

This story captures events transpiring over a few days in the life of gentle hearted street musician named Robert. Robert lives a solitary existence and finds solace through only two things

以下省略

http://randalkirk.com/pawned.html

 本日は、transpire overという表現を取り上げます。はじめ、transpireの”trans-“を見たとき、「何かから何かを生み出す、あるものを別のものに置き変える」といったイメージを持ちました。『ジーニアス英和辞典』(第五版、大修館書店)で、transpireを引いてみますと、他動詞では「[it is ~ that]...ということが漏れる、知れ渡る」、「〈植物・皮膚などが〉〈水分〉を発散[蒸散]させる」とあり、自動詞では「〈事が〉起こる《happen, occurの大げさな代用語》」、「〈植物、皮膚などが〉水分を発散する、蒸発を行う、〈水分などが〉発散する」とありました。
 確認のため、OEDで語源を調べてみますと、” 1590s, "pass off in the form of a vapor or liquid," from Middle French transpirer (16c.), from Latin trans "across, beyond; through" (see trans-) + spirare "to breathe" (see spirit (n.)). Figurative sense of "leak out, become known" is recorded from 1741, and the erroneous meaning "take place, happen" is almost as old, being first recorded 1755. Related: Transpired; transpiring.”とありました。このことから、同語は中フランス語にルーツを持つ語であるということが分かります。また同時に”tran-“が持つ意味を間違えて認識していたということがわかりました。(WREN@Nebraska)

2015-11-23 - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から
It transpired that~ - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から