常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

moonshine


 9月といえばお月見…と思い「月」に関する表現を見ていた所、よく知られている意味とは違う意味を見つけました。
 『ジーニアス英和辞典』(第五版、大修館書店)ではやや古い表現で「1.密造酒 2.ばかげた考え 3.月明り」とありました。『ブルーワー英語故事成語大辞典』(大修館)で語源を確認してみると、“moonshine”の前に「イングランド南西部ウィルトシャーのあだ名、間抜けな者の別名」を表す“moonrakers”を見つけました。これは池に隠しておいた密造したブランデーの樽を“rakes”(熊手)をつかって引き上げようとしていた所を税を取り立てる役人に見つかり、「水面に映る月を取り出している」と特有の狡猾さで愚鈍さを装ったことが由来となっているそうです。
 また、2.の「ばかげた考え」は月の光が精神の安定に及ぼすと考えられていたことからきていて、“lunatics”「精神異常者」とつながっていることがわかりました。ローマ人は“lunatics”は月が満月に近づくにつれてより狂っていくと信じていたらしく、狼人間を連想させます。

 ちなみに今年の十五夜は10月4日です。旧暦に合せるため2011年から2020年の10年間のうち、17年と20年だけが中秋の名月は10月にあたるそうです。(flying bird)