常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

coals to Newcastle 復習

映画「フィラデルフィア物語(1940)」からの表現です。

結婚式の前夜祭ですっかりできあがってしまったマコーレーはシャンパンの手土産を持ってデクスターの屋敷を訪れます。「話をしたくなってね」といきなり現れた酔っ払いマコーレーは自分がシャンパンを持ってきたこと忘れて、デクスターが用意したものだと勘違いし「一杯、いいか?」と言いました。今回取り上げる表現はそんな彼に「どうぞ 僕の酒じゃないから」と返したデクスターの台詞です。

Dexter: What’s up?
Macaulay: You are.
Dexter: I hope it’s worth it. Come on in.
Macaulay: I bring you greetings.
Cinderella’s slipper. It’s called champagne. Champagne is a great “levelerer”. Leveler.
It makes you my equal.
Dexter: I wouldn’t quite say that.
Macaulay: Well, almost my equal. C.K. Dexter Haven, I would like talk to you.
Dexter: Let’s go in the talking room. Don’t tell me the party’s over so soon.
Macaulay: No, no. I just felt like talking to you.
Dexter: Well, that’s nice.
Macaulay: I wonder if I might borrow a drink.
Dexter: Certainly. Coals to Newcastle.

“Coals to Newcastle”とはどういう意味なのでしょうか。
この言い回しは前期のゼミの最後に出てきた例の表現と思いましたが,一応,手持ちの辞書で調べてみました。G4(大修館書店)では “carry[take] coals to Newcastle”で「《英》物をあり余った所へ持っていく;むだな労力を使う《◆(1)Newcastle-upon-Tyneは炭坑の中心地であった (2)That’s (like) coals to Newcastle.(それは必要のないことだ)のようにも用いる》」とありました。ここでは(2)として使われています。LDOCEでは “to take something to a place where there is already plenty of it available”と書かれています。字幕では分かりやすく「僕の酒じゃない」と書かれていますが、直訳すると「僕は要らないから」と訳せます。(Inaho)