常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

bell the cat 復習

朝日新聞の中で、興味深い表現を発見しました。今回はその表現について取り上げさせて頂きます。

“No one is able to bell the cat, as the responsibility of the project leads to two people.”

表現は、上記の文章にある“bell the cat”です。直訳すると、「猫に鈴をつける」ですが、意味は、『ジーニアス英和辞典第4版』(大修館書店)によると、「進んで難局に当たる」です。語源は、イソップ寓話の“The Mice in Council”からのことわざで、ネズミたちが天敵である猫に対する自衛手段を話し合っている時に一匹のネズミが猫の首に鈴をつけることを提案したが、誰が猫の首に鈴をつけるかということで皆が詰まってしまいました。つまり、ネズミたちがやりたくない、鈴を猫に付けにいくことから、「進んで難局に当たる」という意味が生まれました。
語源を調べていく中で、日本語にも、「猫の首に鈴を付ける」という故事ことわざを発見しました。意味と語源は、“bell the cat”と同様で、「いざ実行となると引き受け手がいないほどの困難なことのたとえ」です。イソップ寓話から英語と日本語に共通することわざが誕生したことに驚いたと同時に言語のおもしろさを感じました。(Nao)