常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

tranche

 ギリシャ債権危機に対する記事です。EU諸国は,6月末の債務借換の合意に至ることを切望しております。記事の中で気になった単語は"tranche"です。『Wisdom英和辞典第三版』(三省堂)によると「(取引などの)分割払い込み金,一時金」などという意味がありました。しかし,ここでは別の意味がありそうです。
 日本政策投資銀行のHPに解説がありました。"tranche"とは「流動化により生じた証券を、スプレッド格差に応じて切り分けたもの。「優先劣後関係」の項を参照」とあります。さらに優先劣後関係を見ると「資金調達構造について全額をプロラタ・パリパスとせず、元利金返済を優先するトランシェと劣後するトランシェとに分ける ことによって、金利は低いものの償還確実性の高いトランシェと、償還確実性は低くなるが金利が高いトランシェを作り出し、投資家のさまざまなリスク・リターンプロファイルに対応させ、資金調達の円滑化を図る。一部のローンの劣後化は、シニアローン(優先ローン)に対する信用補完措置として機能する。」と書かれておりました。
 要するに,元は一つの債権をリスクごとに切り分けて新たな債権を作っていく金融手法のようです。サブプライム住宅ローンが証券化されたときもリスククラスに応じて証券を分割して発行しており,この時にも"tranche"という手法が用いられております。(Ume)

Eurozone leaders echo hopes for Greek deal

European Commission President Jean-Claude Juncker - one of the key power-brokers - told a late-night news conference: "I am convinced that we will come to a final agreement in the course of this week".
Meanwhile, thousands attended a rally outside the Greek parliament in Athens on Monday in support of Greece staying in the eurozone. It came a day after an anti-austerity protest backing the government's tough stance towards creditors.
Talks have been in deadlock for five months with Greece's three main creditors unwilling to unlock the final €7.2bn tranche of bailout funds until Greece agrees to economic reforms.
Greece's left-wing Syriza government has opposed reforms that it says will impose unnecessary hardship on the Greek people.

世界経済の潮流 2007年秋