常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

appendectomy

イタリアで行われている男子テニスツアーマスターズで、ナダル選手が準々決勝で、ワウリンカ選手に敗退しました。

Nadal beaten by Wawrinka for 5th loss on clay this year

The French Open is rapidly approaching and Rafael Nadal is suddenly not so dominant on clay anymore.
The Spaniard was beaten 7-6 (7), 6-2 by eighth-seeded Stan Wawrinka in the Italian Open quarterfinals Friday; his fifth loss on clay this season.
Nadal wasted four set points in the tiebreaker, surrendering a 6-2 lead.
The last time Nadal was beaten so many times on his favorite surface was 12 years ago -- in his rookie season.
Nadal has won the French Open nine of the past 10 years. But he's struggling to get back to his best after a wrist injury and an appendectomy last season.
http://mainichi.jp/english/english/newsselect/news/20150516p2g00m0sp021000c.html

気になったのはappendectomyという語です。injuryとandで並べられておりますので、怪我か病気に関係する語で、-tomyとなっていることから、病気の名前なのではないかと思った次第です。『G5』(大修館書店)によりますと、「虫垂切除」とありました。「虫垂切除」(--“a medical operation in which your APENDIX is removed” LDOCE5)とは、「鼠径ヘルニア整復術の次に外科学領域で最も古くから行われている基本的手術の一つ」(Wikipedia)ということです。「鼠径ヘルニア」とは「本来ならお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が、多くの場合、鼠径部の筋膜の間から皮膚の下に出てくる下腹部の病気」(ヘルニア倶楽部)だそうです。
ところで、appendixがLDOCE5のappendectomyの項の定義の中に出てきました。appendixと聞くと、どうしても教材などについている付録のイメージがありますが、再度、同英和辞典を引いてみますと、「〘解剖〙突起;(特に)虫垂(vermiform~)《◇この意味では複数形はappendixesが好まれる》」とありました。なぜ、同じ語で表せるのでしょうか。『英語語源辞典』(研究社)によりますと、語源は「つながれている物」です。1549年に「付加物、(とくに)付録」、1615年に「〘解剖〙虫様突起、虫垂」という意味が生み出されました。今更ながら「虫垂」を調べてみると、「大腸の一部である。右下腹部にあり、盲腸の端から細長く飛び出している」(Wikipedia)とありました。おそらく1549年にできた「付加物、(とくに)付録」という意味が何らかの形で転じて、「〘解剖〙虫様突起、虫垂」という意味になったと考えました。
このようなネットワークを可能な限り広げていきたく思います。(Kawada)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%99%AB%E5%9E%82
http://www.hernia.jp/hernia/about_1/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%99%AB%E5%9E%82