常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

spook

今回は映画”The Human Stain”(邦題:『白いカラス』)という映画の中から表現を拾います。この作品は、黒人差別をしたと訴えられて辞職に追い込まれた教授を通して、アメリカの人種問題の深刻さを伝えた作品です。
映画初版で教授は、授業に出席しない学生のことを指し、教室にいる学生に次のように問いかけます。“Does anyone know these people? Do they exist or are they spooks?”—
この発言が黒人学生への差別だと問題になるのですが、問題となるのはspookという表現です。
spookには「おばけ、幽霊」といった意味があり、(『ウィズダム英和辞典 第3版』三省堂)教授はこの意味でこの発言をしたと主張します。しかしspookには「《米俗・けなして》黒人」といった意味も存在し、(ibid)これが黒人学生への差別だと誤解を生むことになるのです。
このような全く別の意味をあわせ持つような表現の使用には十分注意しなければならないと改めて感じました。また、人種問題を扱ったこの作品を多くの人に見ていただきたいと思いました。(Jakie)