常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

「自分の感受性くらい」

 私が高校を卒業する時、当時の校長先生が卒業式の式辞で、茨木のり子の詩を朗読されました。「自分の感受性くらい」という詩です。皆さんはこの詩を読んで、何を想うでしょうか?(Phantom)

 ぱさぱさに乾いてゆく心を
 ひとのせいにはするな
 みずから水やりを怠っておいて

 気難しくなってきたのを
 友人のせいにするな
 しなやかさを失ったのはどちらなのか

 苛立つのを
 近親のせいにはするな
 なにもかも下手だったのはわたくし

 初心消えかかるのを
 暮らしのせいにはするな
 そもそもが ひよわな志にすぎなかった

 駄目なことの一切を
 時代のせいにはするな
 わずかに光る尊厳の放棄

 自分の感受性くらい
 自分で守れ
 ばかものよ