常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ad hoc #2

 以前にUG先生から教えて頂いたad hocを取り上げます。ad hocの辞書的な意味は過去のentry(ad hoc - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から)で触れられていますので、そちらでご確認いただければと思います。「にわか仕立ての,場あたりの」(『リーダーズ・プラス』,研究社)という形容詞で紹介されていますね。なお、私はUG先生にad hoc interpretation「特務通訳」という言葉を教えて頂き、ad hocに出会いました。その時は、consecutive interpretation「逐次通訳」・simultaneous interpretation「同時通訳」と共に、通訳手法の1つとして学びました。

 このentryではad hocの他の使われ方をみてみます。すると「《口》適当な[いいかげんな]ことを言う(improvice)」という自動詞としての用法や(ibid.)、「若者好みの専門店やレストランを1ヶ所に集めた総合店舗」という和製用法がありました(『大辞泉』,小学館)。さらに調べてみると、ad hocer「《スキー俗》(シャーレ―(chalet)の)飛込みのスキーヤー,ふりの客」(『リーダーズ・プラス』)やad hoc(k)ery・ad hocism「一時しのぎ,場あたり策」(『リーダーズ英和辞典』)、adhocracy・ad hocracy「アドホクラシー《緊急問題に対処できるような硬直した官僚制に代る,より弾力的で型にはまらない組織・運営》」(『ジーニアス英和大辞典』)などの造語がある事が分かりました。

 こうして色々と調べてみると、ラテン語を起源とするad hocという英語が時代の移ろいに応じて変容し、その国や社会にadjustした使われ方をしてきた言葉の歴史をみる事が出来ますね。(Phantom)