常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

proud owner

少し古いニュース(?)で恐縮しますが、共同研究者とともにDNAの二重らせん構造の発見によりノーベル生理学・医学賞を受賞した故フランシス・クリック氏のノーベル賞のメダルが遺族により競売にかけられ,米国の中国系生物医学企業の経営者が約227万ドルで落札しました。

Crick's DNA Nobel medal gets $2 million at auction

Francis Crick’s Nobel medal fetched US$2.27 million at an auction in New York on Thursday. The proud new owner is Jack Wang, chief executive of a Chinese company that intends to sell electromagnetic devices that it claims have medically regenerative powers.

http://www.nature.com/news/crick-s-dna-nobel-medal-gets-2-million-at-auction-1.12790

これは完全に先生の受け売りです。中学校で出てくるproudはおなじみの単語で,おそらくはbe pround ofという形で覚える人が多いと思います。高校ではその限定用法である「(事・ものが)誇るに足る,見事な,りっぱな」という意味の発展した形が出てくるのですが、記事のpround (new)ownerのようなpround+人物名詞の用法は自分を出さずに、万事控えめにすることが美徳にする日本人学習者にはうまく使いこなせないところがあります。
加えてここはownerという人物名詞が来ているので、両者の「合わせ技」により。どうもこなれた訳がなかなか浮かびません。「誇らしげにメダルを新たに競り落としたのは...」「栄誉あるメダル落札に名乗りを上げたのは...」などとやはりどれもうまくはまりません。これは単語の用法というよりは文化的なものだと先生がよく言われていました。(GP)