常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

学会例会のお知らせ

日本通訳翻訳学会関西支部第32回例会のお知らせ

第32回例会を以下の要領で開催します。ふるってご参加ください。なお、いつもの会場とは異なりますので、お間違えのないようお越しください。

【日時】 2013年3月23日(土)15:00〜17:30
【場所】神戸女学院大学 LAII-22(文学部2号館2階MM教室)

*会場へのアクセスはホームページをご覧下さい:
http://www.kobe-c.ac.jp/access.html

【ご注意】当日はオープンキャンパス実施中のため、開始時間の15時前後は車での正門からの入場はできません。タクシー等の場合は「西門」よりお入りください。なお、終了時刻にはそのような制限はございません。

キャンパスマップは以下のURLでご覧になれます。
http://kobe-college.jp/campuslife/campusmap.php

発表1
【発表者】尹永順(中国電子科技大学/神戸大学
【題目】「盛京時報」と谷崎文学
【要旨】本発表は博士論文「中国における谷崎文学に関する研究−リライト理論の視点から−」の1部を構成するものである。従来の先行研究では、中国初の谷崎文学の翻訳は1928年に「小説月報」に発表された瀋端先訳『富美子の足』であるとされてきたが、筆者の調べでは、1924年に穆儒丐訳『麒麟』がすでに「盛京時報」に連載されていたことが判明した。「盛京時報」は1906年に日本人中島真雄が満州で創刊した中国語の新聞である。1924年に『麒麟』と『金と銀』が連載され、1939年から1940年にかけて『春琴抄』が連載されたが、この3作品はいずれも文芸欄「神皋雑俎」の編集を務めた穆儒丐によって翻訳された。満州、日本人の新聞、日本人の新聞社に務めた翻訳者など特殊な時代背景に関わったため、「盛京時報」に載せられた谷崎文学は殆ど注目されなかったと考えられる。本発表では、主に満州、「盛京時報」、穆儒丐に焦点を当てながら、谷崎文学が中国でどのように受け入れられたのかを考察する。

発表2
【発表者】石塚浩之
【題目】CCモデルの輪郭と通訳プロセス分析への応用
【要旨】Conceptual complexes (CC) は、発話理解における意味構築を明示化するための記述装置である。本発表は、CCモデルの概要とその通訳研究における可能性をできるだけわかりやすく紹介する。
聞き手は、話し手の意図を、ある時点で一挙に捉えるのではなく、ディスコースの進展に応じ漸進的に把握する。通訳者による起点テクストの処理にも同じことが言える。概念は知覚不可能であり、人間の頭のなかに構築される概念の実態を観察する手段は乏しいが、同時通訳記録はこの概念の状態を推定するための貴重な実証的手がかりとなる。
船山 (e.g. 2006, 2007, 2012) により提唱され深められてきたCCモデルは、通訳プロセス研究のためのグランドセオリーの礎となる可能性を秘めている。この理論の基本的輪郭はほぼ定まっていると考えられるが、体系的記述の試みはなされていない。
本発表では、前半部分でCCモデルの解説を行い、後半部分で同時通訳記録の簡略な分析例を示す。最後に今後の研究の展望をまとめる。

【参加費】会員:無料  非会員:1,000円(学生500円)
【申込み】3月16日(土)までに西村(nishimurアットtachibana-u.ac.jp)にご連絡ください。なお、終了後近くの店で懇親の会を予定しています。お気軽にご参加下さい。