常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ご指名質問回答:Krazy and Ignatz

遅れてしまいましたが、ご指名質問にお答えしたいと思います。お題のキーワードは、相反するもののように見えるけれども、見事に調和しているsimileの例です。

LIKE Krazy and Ignatz, Carville and Matalin, Cupid and Psyche or Alison Krauss and Robert Plant, the peanut butter and pickle sandwich is one of those unlikely pairings that shouldn’t work, but does.

Krazy Katは、アメリカの漫画のタイトルであるとともに、登場する猫のキャラクターです。一方Ignatzは、Ignatz Mouseのことで、その漫画に登場するネズミのキャラクターです。まったく知りませんでしたし、もちろん読んだこともないのでなんとも言えませんが、調べてみるとKrazy Katは、直情的で単純なキャラクター設定がされており、IgnatzはKrazy Katの行動に悩まされ、レンガをKrazy Katに向かって投げるのが趣味のようです。

Krazy Kat - Wikipedia

Carville and Matalinは、アメリカのpolitical consultantの夫婦を指すようです。夫のJames Carvilleが民主党の支持者で、妻のMary Joe Matalinが共和党の支持者です。相反する政党の支持者の二人ですが、夫婦として調和している例です。上記の例に言えることですが、アメリカ文化や政治的な文脈で語られる人物についての知識が乏しいので、知る機会になりました。
James Carville - Wikipedia
Mary Matalin - Wikipedia

続いて、CupidとPsycheについてです。これはいわゆる『エロースとプシュケーの物語』『アモールとプシューケーの物語』『愛と心の物語』を指します。Cupidはギリシャ神話に登場するエロースのことで、愛を象徴します。Psycheはプシュケーのことを指します。こちらは心・魂、もしくは精神を象徴します。さらにエロースはいわゆる美しい顔の神として、またプシュケーは絶世の美女として描かれます。『エロースとプシュケーの物語』は、愛と心(理性)の問題を扱っております。つまり、恋に落ちることで理性を見失いますが、最後には愛を以って幸せに暮すという調和を描いております。さらにここでは、理性と愛の他に神と人間という二重の構造を読み解くことができます。

最後のAlison Krauss and Robert Plantです。これは、2007年に二人が出したコラボレーション・アルバムRising Handを指しています。この作品は大ヒットしグラミー賞でも5つの賞を得ました。Alison Kraussはアメリカのブルーグラスフィドル奏者でシンガーです。Robert Plantは、ハードロックの雄Led Zeppelinのシンガーです。おそらくブルーグラスとハードロックというまったく違うジャンルの出身者がコラボレーションをした様子を言っているのでしょう。しかし、ひとつ言えることはRobert Plantは、Led Zepの時代からフォークなどのアプローチをしていますし、ソロ・アルバムではカントリー調の曲もあります。Allison Kraussに関してもロックの作品をカバーしていますし、二人が相反しているように見えるとは思えません。ここでは、一般的なイメージとしての二人が示唆されているのだと思います。(Othello

アルバムからのシングル・カット
Led Zeppelin時代の名曲Black Dogを二人で歌っている映像。素晴らしいです。