常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ご指名質問回答:a generation of teetolers

Endoughくんの代打です。見出しのa Generation of Teetotalersについてです。

In Wi-Fi Intoxicated Manhattan, a Generation of Teetotalers

学部時代teetotalerは「絶対禁酒主義者」のことで、アルコール飲料を一切口にしない人と学んだ記憶があります。これは『リーダーズ英和辞典』によると、1833年イングランドの絶対禁酒主義者論者Richard Turnerの造語であると考えられ、totalを強調した言葉であるとされています。(Teetotalism - Wikipedia)

それでは、なぜteetotalerがこの文脈の見出しで用いられているのでしょうか。それにはいくつか理由があります。まず、記事に登場する老人たちの年齢のほとんどが80歳くらいで、ちょうど「アメリカにおける禁酒法時代」(1919-1933年)にあたる点を挙げることができます。次いで、記事で言及されている老人たちは、決してWi-Fiやsmartphoneを使わないということです。つまり、禁酒法時代末期に生まれた老人は、記事を読んでいると、ある参加者の“It was fascinating. But it’s not my generation, so I didn’t know what he was talking about half the time.”という発言にあるように、smartphoneを使うことのメリットをいまいち見いだせず、使う必要はないと感じているようです。

また本記事でも言及されているように、smartphoneにニューヨークの若い世代の人々は夢中であり、まるでsmartphoneが禁酒法時代の酒を連想させることも興味深いでしょう。 見出しのWi-fi intoxicated Manhattanもそうですが、本文でも、“New York may be one of the most wired, smartphone addicted-slash-addled cities in the nation”とあり、老人のインタビューからは「スマートフォンを弄っている子供やお隣さんに無視された」などの意見があります。話は変わりますが、以前にスマートフォンのない生活から、普段の生活のなかの喜びを知るという内容の記事を扱いました(raison d’être,glue to, bon mots - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から)。(Othello)