常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

bring a new buzz

ロンドン・オリンピックに行きたいなあ、と思っていたらThe Telegraphのサイトに小さなガイドの記事がありました。ここから英語表現を拾います。

A fresh and exciting energy – most obvious in the gleaming towers of Canary Wharf, the bold new developments around Stratford, and the 250,000 travellers winging into London City Airport every month – is bringing a new buzz to a very old bend in the River Thames

まず、赤字で示したbring a new buzzについてです。名詞buzzは、「ハチの羽音」の意味から転じて「人がせわしく動く様子」などの意味があります。LDOCE 5th Eds.であれば第2義に“a lot of activity, noise, and excitement”とあります。ここから、bring a new buzzは、「新たな活気を持ち込む」という意味になります。ちなみに bring a new buzzは、ダルヴィッシュ投手の記事でも使われていて、‘Rangers' Yu Darvish expected to bring new buzz to Arlington’というタイトルで、ダラスの地元紙で使われていました。しかし、問題は、The Telegraphの記事にある"The fresh and exciting energy"は、どこに「新しい活気を持ち込む」のか、ということです。

それでは、To以下のa very old bend in the River Thames.とは、どこのことでしょうか。文脈やほかのニュースからもわかりますが、オリンピックのメインの会場となるEast End of Londonのことです。ちょうど地図を見ると(お手製なので見にくいですが)、河がくねくねと曲がっています。ロンドンの下町、つまりコックニーの生まれ故郷です。

また、このEast Endは、以前は移民と貧困層が多く密集した地区だと言われています。とくに社会的な階級層に属さない人々や、「切り裂きジャック」の事件などで有名な場所です。このようなロンドンの下層階級や地下世界にについてはKellow Chesney著のThe Victorian Underworldが詳しいです。かなり興味深い書籍です。

さて、下町のイメージや貧困層の街であったという背景があっても、現在では、オリンピック・パークやほかの地域などの再開発などによってEast Endは、めまぐるしく変化してきました。わたしがロンドンに行った時も、観光などをして、大いに楽しめました(おしゃれなカフェが並んでいます)。とくにイースト・エンドは若手の芸術家や音楽人などが多いことでも有名です。(Othello)