常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

「内定(?)」のfloat

各紙が首相の内閣改造について取り上げていますが,同じ情報を伝えるにも伝え方は様々です。日本語と英語だとなおさらですね。今回はある単語を通して日本語と英語の違いを見ていきます。


民主党役人事では,(中略)野党とも関係が良好とされる城島光力幹事長代理を起用する事が内定している。(読売新聞 2012/01/13より)
[T]hey said, adding that DPJ Deputy Secretary General Koriki Jojima has been floated as Hirano’s Successor.(DY 2012/01/13より)


ここでのfloatは,文脈にそうと「〜に〈人事案>が内定している」という意味で使われています。以前もこのブログで取り上げたように,floatには「アイデアや考えを持ち出す」という意味があり,LDOCEでは"to suggest an idea or plan to see if people like it"と定義されています。ここで疑問に思うのが,日本語の「内定」は「公表はされてはいないが,内々で定まること,また決めること」ですが(『スーパー大辞林』),floatは「周りが賛成してくれるかどうか提案して見る」事です。なので,同じ情報を報道するにもニュアンスの乖離があります。(http://d.hatena.ne.jp/A30/20100725/1280063087
floatの持つニュアンスが時と場合によって変わるのか,はたまた「内定」のニュアンスがかわったのか,どちらが正しいかは分かりませんが,floatを通して日本語と英語の違いが見られる事は英語学習者として大変興味深いことですね。(Sugiuchi)