常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

bury the hatchet withほか

先日,Madchesterを代表する伝説のバンドthe Stone Rosesが再結成をしました。今度は,その子孫で,Britpopという90年代中期から2000年にかけて流行したロック・ムーヴメントのバンド,OasisのメンバーもOasisの再結成を望んでいる,とのことです。The Guardianが伝えています。今回は英語表現を3つ拾います。

Liam hopes to reconcile with Noel for 20th anniversary of (What's the Story) Morning Glory, while Noel buries the hatchet with former Britpop rival Damon Albarn
(中略)
In fact, it seems both Gallagher brothers are casting round, looking for enemies to reconcile with. It seems that, 16 years after the battle of Britpop, Noel and Damon Albarn have patched things up over a couple of pints. The former rivals got together after meeting in a club, with Gallagher hailing their late-90s rivalry as a "fucking good laugh".
http://www.guardian.co.uk/music/2011/oct/21/liam-gallagher-oasis
最初に,bury the hatchet withです。研究社の『リーダーズ英和辞典』第2版によると,bury the hatchetで「和睦する(北米インディアンの風習から)」とあります。ここで示されるhatchetとは「手斧,鉈(なた)」という意味です。ここから推測できるのは,ネイティヴ・アメリカンは和睦をするときに手斧を埋める風習があったこと。『アドヴァンスド・フェイバリット英和辞典』初版であれば,その解説に「和睦のしるしにまさかりを埋める北米先住民の風習から」とあります。つまり,記事は,「リアムは『モーニング・グローリー』発売20周年にノエルとオアシスを再結成したいと思うが,一方でノエルはかつてブリットポップのライバルだったデーモン・アルバーンと仲直りをした」と訳せます。
さて,cast roundとはどんな意味でしょうか。これはcast aroundと同じ意味で,「捜し求める」という意味です(『リーダーズ英和辞典』研究社)。記事ではすべてが,言及されていませんが,お互いにソロのキャリアを選んだギャラガー兄弟は,自分のアルバムが成功する秘訣として,当時ライバル関係にあったミュージシャンやシンガーと関係の修復を始めています。その例が次に示されています。
次はbury the hatchetを踏まえると,簡単に推測が可能です。赤字で示したpatch things upをご覧ください。patchは「継ぎを当てる,〜をつくろう」などの意味があります(『アドヴァンスド・フェイバリット英和辞典』東京書籍)。さらにthingは『リーダーズ英和辞典』によると「特別な(好悪の)感情」というなどの意味があります。この場合は犬猿の仲だったアルバーンとノエルの関係を指しています。ここからpatch things upで「関係を改善する,仲直りをする」という意味を推測することができます。確認のためLDOCE 4th Eds.をみてみると“to end an argument because you want to stay friendly with someone”とあります。つまり,「(社会現象にまでなった)ブリットポップから16年経って,ノエルとデーモン・アルバーンはビールを何杯か飲んで仲直りをした。」と訳せます。(Othello)