常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

JIN

ドラマ『JIN―仁』のDVDボックスを買いました。観ていると気になる言葉がひとつあります。それは,主人公南方仁がよく口にする「神は乗り越えられる試練しか与えないんじゃないのか!」という言葉です。聖書から来た言葉であるのは間違いありません。インターネットで調べてみると,結構批判的なコメントもありました。そこで,今回は,「神は乗り越えられる試練しか与えないんじゃないのか!」について調べてみます。
これは,『コリント人への手紙一』第10章13節からの引用です。私の手元にはKing James Versionしかないので,「神は乗り越えられる試練しか与えなんじゃないのか!」に該当する箇所を引用致します。その後に新共同訳の口語訳を参考にしつつ訳してみます。
There hath no temptation taken you but such as is common to man: but God is faithful, who will not suffer you to be tempted above that ye are able; but will with the temptation also make a way to escape, that ye may be able to bear it.
あなたが受けた誘惑の魔手で,人として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真なるお方です。あなたに乗り越えられない試練に遭わせ苦しめることはなさらず,試練と共に,それに耐えられるよう,逃れる道をも備えていてくださいます。
http://www.biblegateway.com/audio/mclean/kjv/1Cor.10.13
ここでわかるのは,『JIN―仁』では,逃げる道についての言及がないことです。ただ神が試練を与え,それを乗り越える主人公を描いているだけですので,もしかしたら,神という存在に対し,一方的な判断を委ねる主人公や劇作術に私憤を抱く視聴者もいたかもしれません。最後に,私の解釈としては,試練とは,肉体的な試練ではなく,霊魂など精神的な救済に繋がるものだと思っています。人類愛的な視点に立っている箇所です。(Othello)