常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ご指名質問回答(Othello)

UG先生のご指名質問に挑戦致します。問われている質問は,下記の記事内のa notoriously tricky accentとはなにかです。gacha君の記事も合わせてご参照ください。
The preparation did not pay off in many viewers' eyes, however, as critics queued up to pounce on her pronunciation of a notoriously tricky accent.
このa notoriously tricky accentとは「(劇中でアン・ハサウェイの喋る)ヨークシャー訛り」という意味合いになると考えられます。ハサウェイは,ブルックリン出身のアメリカ人の女優で,アメリカ英語を喋ります。以上を踏まえると,ここで問題となっているのは,評判の悪い(notoriously)難しい(tricky)訛り,つまり,彼女が演じることのできなかった――イングランド人の評論家や観客を納得させることのできなかった――イングランドの発音であることが確認できます。
ここでtrickyに注目してみます。辞書で意味を確認します。
tricky「狡猾な,ずるい,油断ならない;あの手この手の 2.手際を要する,やりにくい,手の込んだ」(『リーダーズ英和辞典』研究社)
tricky “1. Something that is difficult to deal with or do because it is complicated and full of problems. 2. A tricky person is cleaver and likely to deceive you”(LDOCE)
ここでは,LDOCEの1の意味(「手際の要する」というニュアンス)で使われています。
ちなみに,以前にもハサウェイは『ジェイン・オースティン――秘められた恋』の主人公オースティン役を演じ,その英語の発音と立ち振る舞いが批判の対象になりました。イングランドアメリカの両方のアクセントを扱うことは,ネイティヴ・スピーカーにとっても難しいのでしょう。批判はされていますが,アン・ハサウェイも素晴らしい女優ですし,共演しているロンドン出身のジム・スタージュ――ヒット作2つでアメリカ人を演じたこともあり――若手俳優のなかでもかなりの実力派です。ひとまず映画には期待したいところです。(Othello)
Anne Hathaway’s Accent Anxiety in One Day
http://www.youtube.com/watch?v=FOsqh5xr4xM
Anne Hathaway’s British Accent
http://www.youtube.com/watch?v=eIlx0G6o1fA
One Day; interview with Anne Hathaway
http://www.youtube.com/watch?v=2JrJJnd7SQI