常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

bow out on a note of triumph

現在の国会は,菅総理の退陣時期を巡って大混乱です。
“Kan Cabinet should bow out on a note of triumph after enacting a special law for government bonds in June,” Tanaka said.(DY 06/08/11より)
これは衆議院議員田中慶秋氏の菅内閣に対するコメントです。ここで取り上げるのは, bow out on a note of triumph という表現です。
まずbow outです。bowは「おじぎをする」という意味ですが,bow outとなると「おじぎをして引きさがる」となります。ここから派生して,政治の話になると「身を引く」や「辞任する」という意味として使われます(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。

on a note of triumphは,noteが「調子」,triumphが「大勝利」という意味なので,直訳すると「勝利の様子で」となります。ちなみに,on a note of triumphは1945年5月8日にヨーロッパにおける終戦を宣言した伝説的ラジオ番組On a Note of Triumphや,アメリカ史上もっとも偉大なライターのひとりと謳われるノーマン・コーウィンの黄金期を振り返った映画A Note of Triumph:The Golden Age of Norman Corwinを意識して使われていると思われます。http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=4668028
http://www.directcinema.com/dcl/title.php?id=563
以上を考慮しますと, bow out on a note of triumph は「勇退する」と訳せるかと思われます。(Sugiuchi)