常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

partial

田邉先生の研究室には多くの英語に関する書物が所狭しと並んでいます。その中に『英語青年』(研究社)という雑誌があります。これは主に英語・英米文学の研究者向けの月刊誌です。 1898年に創刊し,2009年に多くの方に惜しまれながら休刊しました。休刊後は,『研究社 - web英語青年』としてウェブページに引き継がれています。この雑誌の中には,
和文英訳練習というコーナーがあります。私も1987年5月号のものに挑戦してみました。その中にこのような一文が…
私はたぶん徹底して「普段の事」が好きなのだ。−秋山 駿
この一文をどのように訳せばよいでしょう?当時このコーナーを担当されていた金子稔先生は以下のように訳されていました。
I seem to be almost inordinately partial to “ordinary things”.
ここで注目したいのがpartialの使われ方です。partialと言いますと,パッと思い浮かぶ意味として「一部の,部分の」が挙げられるのでは思います。しかし,ここではそのようではありません。日本語訳と比較すれば分かりますがpartialには「とても好きな」という意味があります(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。これは自分の一部分になるくらい好きであるということなのでしょうか。
金子稔先生がこのコーナーで,解答だけでなく以下の英文を紹介されていました。心に刻みたい言葉です。
We generally think that what we say or write is clear and immediately understandable to others … I doubt it.(Second Thoughts Sir Hugh Cortazzi著)
(persimmon柿生)