常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Trumping the treys

アメリプロバスケットボールリーグNBAで大記録の誕生です。現地時間10日のBoston Celtics対Los Angels Lakers戦,CelticsのシューティングガードRay Allen選手が,Rggie Miller選手の持つ生涯3ポイントシュート成功数2560本のNBA記録を塗り替えたのです。92-86で残念ながらCelticsは試合には敗れてしまいましたが,Ray Allen選手の名はNBAの歴史に刻まれました。DY(02/12/11)のスポーツ欄にあった記事の見出しから英語表現を拾います。
Trumping the treys
Lakers rally to top Celts, spoil celebration after Allen becomes new 3-point king
まず,trumpと言うとカードゲームの「トランプ」が想起されますが,trumpには動詞で「〈人を〉(奥の手を出して)やっつける, 打ち負かす, …をしのぐ, に勝る」という意味があります(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)。これはtrumpがtriumph(勝利)という単語を語源に持つことに関係しています(同上)。
次に,treysですが,treyはthreeを意味するラテン語のtresに由来する単語で「(トランプの)3の札;(さいころの)3の目」を指します(『リーダーズ英和辞典』第2版,研究社)。言うまでもなく,先に採り上げた動詞のtrumpと掛けて使われており,/tr/の音で韻をふむことでリズムも生まれています。ここではtreysと複数になっていることに注目し「threeが複数=3ポイントシュート」とすれば,the treysは「3ポイントシューターのRay Allen選手」を指していると考えられます。また(これは少し考え過ぎかもしれませんが)Allen選手の名前Ray(/rei/)を意識しているのかもしれません。
Allen選手は現在35歳ですが,今もなおリーグ首位のCelticsのエースとして活躍し続けており,今後も記録はさらに伸びてくことが予想されます。(院生 小山本)